【問】 Aは借地上に所有する建物についてBのため抵当権を設定した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものの組合せはどれか。

ア  Bの抵当権の効力は、原則としてAが有する借地権に及ぶ。

イ  Aが借地権設定者から土地の所有権を買い受けた後、抵当権が実行された場合、Aの建物のため法定地上権は成立しない。

ウ  Aが借地権設定者から土地の所有権を買い受けた後、Bが抵当権を実行する場合、建物と共に土地を競売にかけることができるが、優先弁済は建物の代価のみから受けることができる。

エ  Bが抵当権を実行した場合、Aに対してB以外に誰も債権者がいない場合でも、抵当権で担保される債権の範囲は、元本債権と満期となる最後の2年分の利息その他定期金である。

 

1 ア、イ

2 ア、ウ

3 イ、ウ

4  イ、エ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】   正解    1

ア  正しい。土地賃借人所有の地上建物に設定された抵当権の効力は、特段の事情のない限り、当該建物の所有に必要な賃借権に及ぶ。(最判昭和40年5月4日)。

イ  正しい。法定地上権は抵当権設定時に土地と建物が同一所有者のものでなかった場合には成立しない。(民法388条)。

ウ  誤り。建物のみについて抵当権が設定された場合、抵当権実行に際して、土地を競売にかけることはできない。なお、更地に抵当権が設定された場合に、その上に抵当権設定者が建物を建てて所有しているときには、抵当権者は土地とともに建物も競売にかけることができる(一括競売)。ただし、優先弁済を受けられるのは、土地の代金についてのみである。(民法389条)。

エ  誤り。Aに対してB以外に誰も債権者がいないのであれば、抵当権で担保される債権の範囲は、元本債権と満期となる最後の2年分の利息等を超えて優先弁済権を有する。

よって、正しいものの組合せはア、イで1が正解である。