【問】 AはBから建物を賃借し、Bの承諾を得て、当該建物をCに転貸している。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。なお、Aの支払うべき賃料の額は、Cの支払うべき転借料の額より小さいものとする。

1 AとBとが賃貸借契約を合意解除した場合、AC間の転貸借契約は、その前提を失うため、特別の事情のある場合を除き、当然に終了する。

2 Cは、Bから請求があれば、CがAに支払うべき転借料全額を直接Bに支払うべき義務を負う。

3 Bは、Aの債務不履行によりAB間の賃貸借契約を解除しようとする場合、Cに対して、3ヵ月以前に通知し、Aに代わって賃料を支払う機会を与えなければならない。

4 Bが、Aの債務不履行によりAB間の賃貸借契約を適法に解除した場合、Cは、AC間の転貸借契約に基づく転借権をBに対抗することができない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 正 解 4

1 誤り。賃貸人と賃借人とが賃貸借契約を合意解除しても、特段の事情のない限り、賃貸人は転借人に対してこの合意解除の効果を主張できない(判例)。したがって、AC間の転貸借契約は当然に終了するわけではない。

2 誤り。転借人は賃貸人に対して直接の義務を負う(民法613条1項)。この場合、転借人は賃料と転借料を比べて低い額を支払えばよい。

3 誤り。賃借人の債務不履行による解除には、民法541条(履行遅滞による解除権)が適用される。BはAに対して相当の期間を定めて催告し、その期間内に履行がなければ契約を解除できる。

4 正しい。賃借人の債務不履行により賃貸借契約が解除された場合には、その結果、転貸人としての義務に履行不能を生じ、よって転貸借は賃貸借の終了と同時に終了する(判例)。