【問】 宅地建物取引業の免許に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 A建設株式会社は、甲県にある本店では宅地建物取引業を営まないため専任の取引士を設置していないが、乙県にある支店では宅地建物取引業を営むため専任の取引士を法定数設置している。この場合A建設株式会社が免許申請しても、免許されない。

2 甲県知事の免許を受けたB建物株式会社は、免許の有効期間中に甲県の事務所を廃止して、引き続き新たに乙県に事務所を設置して営業する場合、乙県知事に免許換えの手続きをした日から乙県知事の免許が交付されるまでの間は、甲県知事の免許で営業活動することができる。

3 C不動産会社は、宅地建物取引業を営むため国土交通大臣に免許の申請をしたが、取締役員の1人が道路交通法違反により懲役1年、執行猶予2年の判決を受け、刑が確定し、その執行猶予期間が免許申請受付日の2ヵ月前に満了したことが判明した。この場合、C不動産会社は、免許を受けることができる。

4 D商事株式会社は、宅地建物取引業を新たに営むため、国土交通大臣免許の申請書を甲県知事を経由して提出した。ところが、取締役員の1人が免許申請した日の5年10ヵ月前に、宅地建物取引業に関し不正な行為をしたことが判明した。この場合、D商事株式会社は免許を受けることができない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 正 解 4

1 正しい。宅建業者の本店は宅建業を営まなくとも当然に事務所とされ、必要数の専任の取引士を置かなければ免許はされない(宅建業法3条1項、15条、施行令1条の2第1号)。

2 正しい。免許換えの手続をしたとしても、従前の免許が直ちに効力を失うわけではなく、新たな免許が与えられるまでは従前の免許で営業することができる(7条1項2号、2項、施行規則4条の5第1項)。

3 正しい。法人の役員が、禁銅以上の刑に処せられた場合、その刑の執行を終わり、または刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しないと、その法人は免許が受けられない(5条1項7号・3号)。しかし、禁銅以上の刑と併せて刑の執行猶予の言渡しを受け、猶予の期間を経過した場合には、刑は言渡しの時に遡って消滅する(刑法27条)。したがって、懲役刑を受けたとしても、免許申請前に執行猶予の期間が満了していれば免許は受けられる。

4 誤り。法人の役員の中に、免許の申請前5年以内に宅建業に関して不正または著しく不当な行為をした者がいるときは、その法人は、免許を受けられない(宅建業法5条1項7号・4号)。5年を経過していれば免許は受けられる。