【問】Aが所有者として登記されている甲土地の売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1  Aと売買契約を締結したBが、平穏かつ公然と甲土地の占有を始め、善意無過失であれば、甲土地がAの土地ではなく第三者の土地であったとしても、Bは即時に所有権を取得することができる。

2  Aと売買契約を締結したCが、登記を信頼して売買契約を行った場合、甲土地がAの土地ではなく第三者Dの土地であったとしても、Dの過失の有無にかかわらず、Cは所有権を取得することができる。

3  Aと売買契約を締結して所有権を取得したEは、所有権の移転登記を備えていない場合であっても、正当な権原なく甲土地を占有しているFに対し、所有権を主張して甲土地の明渡しを請求することができる。

4  Aを所有者とする甲土地につき、AがGとの間で12月1日に、Hとの間で12月10日に、それぞれ売買契約を締結した場合、G、H共に登記を備えていないときには、先に売買契約を締結したGがHに対して所有権を主張することができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 正解  3

l  誤り。他人の土地を所有の意思をもって、平穏かつ公然と占有した者は、一定期間(10年又は20年)経過することによって所有権を時効取得できる。即時取得は動産に認められるもので、不動産については認められない。

2  誤り。不実の登記を信頼して取引した者は、当該不動産の所有者Dに過失があるときは、Cは甲土地の所有権を取得できる。

3  正しい。甲土地を不法に占有している者に対しては、正当な利益を有するEは、登記を備えていなくても、当該土地の所有権を対抗できる。したがって、甲土地の明渡しを請求することができる。

4  誤り。二重譲渡の場合は、登記を先に得た者が土地の所有権を主張することができる。契約をした日の先後で決定するわけではない。