【問】 Aが、Bの所有地を賃借して木造の家屋を所有し、これに居住している場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば正しいものはどれか。

1 「土地の使用は木造3階建の家屋に限る」旨の借地条件があるとき、借地借家法に定める要件に該当すれば、Aは裁判所に対して借地条件の変更の申立てができるが、Bは申立てができない。

2 増改築禁止の借地条件がある場合に、土地の通常の利用上相当とすべき改築についてBの承諾に代わる許可の裁判をするときでも、裁判所は、借地権の存続期間の延長まですることはできない。

3 Aに対する競売事件でAの家屋を競落したCは、Bが土地の賃借権の譲渡により不利となるおそれがないにもかかわらず譲渡を承諾しないとき、家屋代金支払後借地借家法に定める期間内に限り、裁判所に対して、Bの承諾に代わる許可の申立てをすることができる。

4 Aが家屋をDに譲渡してもBに不利となるおそれがないときには、Dは、Aから家屋を譲り受ける契約をした後、裁判所に対して、土地の賃借権の譲渡についてのBの承諾に代わる許可を申し立てることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 正 解 3

1 誤り。借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は当事者の申立てによって、借地条件の変更ができるので(借地借家法17条1項)、Bからの申立てもできる。

2 誤り。裁判所は当事者間の利益の衡平を図るため、必要あるときは借地条件を変更したり、財産上の給付を命じたり、その他相当の処分をすることができる(17条3項)ので、存続期間についての延長も命ずることができる。

3 正しい。同法20条1項により、競落人Cは裁判所に対して、Bの承諾に代わる許可の申立てができる。なお、申立て期間は同法20条3項により、建物代金を支払ったのち2ヵ月以内である。

4 誤り。土地の賃借権の譲渡についての許可の申立ては、借地権者からの申立てによるものであって、譲り受けた者からの申立てではない(19条1項)。したがって、Dからは申立てをすることはできない。