【問】 Aは、建物の所有を目的としてBから土地を賃借し建物を建築して所有しているが、土地の賃借権の登記はなされていない。この場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Bが当該土地をCに譲渡した場合でも、Aは、当該建物についてAの配偶者名義で所有権保存登記をしていれば、借地権をCに対抗することができる。

2  Aの建物がDの放火により滅失した場合、建物を新たに築造する旨等を本件土地の上の見やすい場所に掲示した場合でも、Aは当該建物につき登記をしていなければ、Bから土地を買い受けたEに借地権を対抗できない。

3  Aが、当初の存続期間満了前に、現存する建物を取り壊し、残存期間を超えて存続する建物を新たに築造した場合で、Bにその旨を事前に通知しなかったとき、Bは、無断築造を理由として、借地契約を解除することができる。

4  AB間の合意により、あらかじめ借地権設定時に「借地権設定後40年経過した日に建物をBに相当の対価で譲渡し、借地権を消滅させる」旨の特約を公正証書によってすることはできない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】   正解    2

1  誤り。借地上の建物の保存登記は、借地権者本人の名義でなければ対抗力はない。

2  正しい。借地上の登記された建物が滅失した場合に適用されるものであって、もともと建物が登記されていなかった場合には対抗力は認められない。

3  誤り。当初の存統期間中に建物を取り壊してもその存続期間内は借地権は存続する。したがって、Bへの通知は不要であり、BはAの無断築造を理由に契約を解除することはできない。

4  誤り。借地権を消滅させるため、設定後30年以上経過した日に建物を相当の対価で譲渡する旨を定めることができる。この場合、契約方式に定めはないので公正証書によってすることができる。