【問】 不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 収益価格を求める方法としては、直接還元法とDCF法があるが、不動産の証券化に係る鑑定評価等においてはDCF法の適用は避けるべきである。
2 特定価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことにより正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価格と乖離することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。
3 原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格を求める手法である。
4 取引事例比較法は、まず多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行いこれらに係る取引価格に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因及び個別的要因の比較を行って求められた価格を比較考量し、これによって対象不動産の試算価格を求める手法である。
【解答】 正解 1
1 誤り。DCF法は、連続する複数の期間に発生する純収益及び復帰価格を、その発生時期に応じて現在価値に割引、それぞれ合計する方法であるが、不動産の証券化に係る鑑定評価等で、毎期の純収益の見通し等について詳細な説明が求められる場合は、DCF法の適用を原則とする。なお、直接還元法は、一期間の純収益を還元利回りによって還元する方法である。
2 正しい。特定価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことにより正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価格と乖離することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。
3 正しい。なお、原価法による試算価格を「積算価格」という(不動産鑑定評価基準第7)。
4 正しい。記述のとおりである。なお、取引事例比較法による試算価格を「比準価格」という(不動産鑑定評価基準第7)。