【問】 Aは、自己所有の甲不動産につき、B信用金庫に対し、極度額を5,000万円、被担保債権の範囲を「信用金庫取引による債権」とする第1順位の根抵当権を設定し、その旨の登記をした。なお、担保すべき元本の確定期日は定めなかった。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 元本の確定前に、被担保債権の範囲を変更するには後順位の抵当権者がいる場合は、その者の承諾を得なければならない。
2 元本の確定前に、B信用金庫から、被担保債権の範囲に属する個別債権の譲渡を受けた者は、確定日付のある証書でAに対し債権譲渡通知を行っておけば、その債権について根抵当権を行使できる。
3 B信用金庫は、確定した元本が極度額以下であれば、その元本に係る最後の2年分の約定金利については、極度額を超えても、根抵当権を行使できる。
4 Aが友人CのためにB信用金庫との間で保証契約を締結し保証債務を負担した場合、B信用金庫のAに対するこの保証債権は、「信用金庫取引による債権」に含まれ、この根抵当権で担保される。
【問】 正解 4
l 誤り。元本確定前においては、根抵当権者と設定者の合意で被担保債権の範囲を変更することができる。この変更について、後順位の抵当権者や第三者の承諾を得る必要はない。
2 誤り。元本確定前においては、随判性は否定される。したがって、譲渡を受けた者が確定日付のある証書でAに債権譲渡の通知を行っても、根抵当権を行使することはできない。
3 誤り。根抵当権は、被担保債権について、極度額を限度として優先弁済を受けるもので、普通の抵当権のように最後の2年分の利息に制限されないが、利害関係者がいない場合でも、極度額を超えて根抵当権を行使することはできない(判例)。
4 正しい。被担保債権の範囲を「信用金庫取引による債権」として設定された根抵当権の被担保債権には、信用金庫の根抵当債務者に対する保証債権も含まれる。
したがって,B信用金庫のAに対する保証債権も、根抵当権で担保される(判例)。