【問】 債権の譲渡に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 指名債権が二重に譲渡され、確定日付のある各債権譲渡通知が同時に債務者に到達したときは、各債権譲受人は、債務者に対し、債権金額基準で按分した金額の弁済請求しかできない。
2 指名債権の性質を持つ預託金会員制ゴルフクラブの会員権の譲渡については、ゴルフ場経営会社が定める規定に従い会員名義書換えの手続を完了していれば、確定日付のある債権譲渡通知又は確定日付のある承諾のいずれもない場合でも、ゴルフ場経営会社以外の第三者に対抗できる。
3 契約時点ではまだ発生していない将来債権でも、発生原因や金額などで目的債権を具体的に特定することができれば、譲渡することができ、譲渡時点でその債権発生の可能性が低かったことは譲渡の効力を直ちに否定するものではない。
4 指名債権譲渡の予約契約を締結し、この予約契約締結の事実を確定日付のある証書により債務者に通知していれば、予約の完結によりなされる債権譲渡の効力を債務者以外の第三者に対抗することができる。
【問】 正解 3
l 誤り。確定日付のある2通の譲渡の通知が同時に到達したときは、各譲受人は、債務者に対し、それぞれが譲り受けた債権についてその全額を請求することができる(判例)。
2 誤り。指名債権譲渡の第三者に対する対抗要件は、あくまで確定日付のある通知又は確定日付のある承諾である。
3 正しい。契約時にまだ発生していない将来債権であっても、予約完結時において譲渡の目的となるべき債権を譲渡人が有する他の債権から識別することができる程度に特定されていれば、譲渡することができる。そして、将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約の締結時において、この債権発生の可能性が低かったことは、債権譲渡契約の効力を、当然に左右するものではない(判例)。
4 誤り。指名債権譲渡の予約契約を締結し、その事実を確定日付のある証書により債務者に通知した場合において、そしてその予約の完結により債権譲渡が行われた場合、その債権譲渡の効力を債務者以外の第三者に対抗することができない(判例)。