【問】 宅地建物取引業者A社の行う業務について、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 A社は、自ら建築工事完了前のマンションの売主となるときは、代金の一部が当該物件の売買価格の10分の1以下で、かつ、1,000万円以下であれば、保全措置をしなくてもよい。

2 A社は、その相手方等に対して契約の目的物である宅地又は建物の将来の環境等について誤解させるべき断定的判断を提供することは禁止されているが、過失によって当該断定的判断を提供してしまった場合でも免責されない。

3 A社は、その事務所に従業者名簿を備えることとされているが、取引の関係者から請求があった場合、当該名簿をその者に閲覧させなければならない。

4 A社は、その相手方等に対して契約に係る重要な事項について故意に事実を告げない行為は禁止されているが、法人たるA社の代表者が当該禁止行為を行った場合、当該代表者については懲役刑が科されることがあり、またA社に対しても罰金刑が科されることがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 正 解 1

1 誤り。A社が自ら売主となるときは、「宅建業者自ら売主となる売買契約の規制」の適用がある。したがって、代金の一部を受領する場合には、原則として手付金等の保全措置をとる必要がある。ただし、未完成物件の場合において、手付金等の額が代金の5%以下かつ1,000万円以下であれば、保全措置をとらなくてもよい。

2 正しい。宅建業者は、その相手方等に対して契約の目的物である宅地又は建物の将来の環境等について誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはいけない。これは、故意による場合でも過失による場合でも同様である。

3 正しい。宅建業者は、取引の関係者から請求があったときは、従業者名簿を閲覧させなければならない(同法48条4項)。

4 正しい。宅建業者が、重要な事項について故意に事実を告げなかった場合は、2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処せられる(同法47条1号、80条)。業者が法人の場合、懲役は代表者に科され、罰金は法人に科される。