【問】 両当事者が損害の賠償につき特段の合意をしていない場合において、債務の不履行によって生ずる損害賠償請求権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1  債権者は、債務の不履行によって通常生ずべき損害のうち、契約締結当時、両当事者がその損害発生を予見していたものに限り、賠償請求できる。

2  債権者は、特別の事情によって生じた損害のうち、契約締結当時、両当事者がその事情を予見していたものに限り、賠償請求できる。

3  債務者の責めに帰すべき債務の履行不能によって生ずる損害賠償請求権の消滅時効は、本来の債務の履行を請求し得る時からその進行を開始する 。

4  債務の不履行に関して債権者に過失があったときでも、債務者から過失相殺する旨の主張がなければ、裁判所は、損害賠償の責任及びその額を定めるに当たり、債権者の過失を考慮することはできない 。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【問 】  正解  1

l  誤り。債務者が既に権利を行使している場合には、債権者の代位行使を認めていない(判例)。

2  正しい。未登記建物の買主は、売主に代位して所有権保存登記手続きを行うことができる(判例)。

3  正しい。建物の賃借人が賃借権を保全するため、賃貸人(所有者)に代位して建物の不法占有者に対して直接自己に明け渡すよう請求できる(判例)。

4  正しい。抵当権者は所有者の妨害排除請求権を代位行使して、直接自己に明け渡すよう請求できる(判例)。