【問】 AがA所有の甲土地の売却に関する代理権をBに与えた場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、表見代理は成立しないものとする。
1 Aが後見開始の審判を受けた場合には、Bの代理権が消滅するので、BはAの代理人として有効に甲土地を売却することはできない。
2 Bが死亡しても、Bの相続人はAの代理人として有効に甲土地を売却することができる。
3 17歳であるBがAの代理人として甲土地をCに売却した後で、Bが17歳であることをCが知った場合には、CはBが未成年者であることを理由に売買契約を取り消すことができる。
4 Bが売主Aの代理人であると同時に買主Dの代理人としてAD間で売買契約を締結しても、あらかじめ、A及びDの承諾を受けていれば、この売買契約は有効である。
〔問〕 正 解 4
1 誤り。代理人が後見開始の審判を受けた場合はその代理権は消滅するが、本人(A)が後見開始の審判を受けてもB代理権は消滅しないので、BはAの代理人として甲土地の売却行為をすることができる(111条1項2号)。
2 誤り。B(任意代理人)の死亡により代理権は消滅する。代理人としての地位を相続
できない(同項2号)。
3 誤り。任意代理人は制限行為能力者でもかまわない。その効果は本人に帰属する。
したがってAもCも当該契約を取り消すことはできない(102条)。
4 正しい。双方を代理して契約することはできないが、あらかじめ双方の当事者が許
諾していれば契約することができる(同条但書)。