【問】 制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 土地を売却すると、土地の管理義務を免れることになるので、婚姻していない未成年者が土地を売却するに当たっては、その法定代理人の同意は必要ない。
2 成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却するためには、家庭裁判所の許可が必要である。
3 被保佐人については、不動産を売却する場合だけでなく、日用品を購入する場合も、保佐人の同意が必要である。
4 被補助人が法律行為を行うためには、常に補助人の同意が必要である。
〔問〕 正 解 2
1 誤り。未成年者が「単に権利を得、又は義務を免れる法律行為」については、法定代理人の同意を要しないとされている(5条1項ただし書)が、これは未成年にとって明らかに利益でしかない行為を意味する。土地の売却は、売却代金という利益を得ることができる半面、重要な財産である不動産を失うという不利益を伴い、売却条件によっては全体として未成年者の不利益となる可能性もあるから、「単に権利を得、又は義務を免れる法律行為」には当らず、法定代理人の同意が必要である。
2 正しい。成年後見人が成年被後見人に代わって成年被後見人が居住している建物を売却するには、家庭裁判所の許可が必要である(859条の3)。
3 誤り。被保佐人が日用品を購入する場合は、保佐人の同意は不要である(13条但書)。
4 誤り。被補助人が、家庭裁判所の審判による特定の法律行為をするには、補助人の同意が必要である(17条1項)。