【問】 無権代理に関する次の1から4までの記述のうち、民法の規定、判例及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。

(判決文) 無権代理人が本人を他の相続人と共同相続した場合において、無権代理行為を追認する権利は、その性質上相続人全員に不可分的に帰属するところ、無権代理行為の追認は、本人に対して効力を生じていなかった法律行為を本人に対する関係において有効なものにするという効果を生じさせるものであるから、共同相続人が共同してこれを行使しない限り、無権代理行為が有効となるものではないと解すべきである。そうすると、他の共同相続人全員が無権代理行為の追認をしている場合に無権代理人が追認を拒絶することは信義上許されないとしても、他の共同相続人全員の追認がない限り、無権代理行為は、無権代理人の相続分に相当する部分においても、当然に有効となるものではない。

 

1 無権代理人が本人を単独で相続した場合においては、追認拒絶は許されず、当然に無権代理行為は有効となる。

2 本人が無権代理人を単独で相続した場合においては、追認の拒絶は許される。

3 無権代理人が本人を他の相続人と共同相続した場合においても、当然に無権代理行為は有効となる。

4 本人が追認の拒絶をした後に死亡し、無権代理人が単独で相続したとしても、無権代理行為が有効となるものではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 3

1 正しい。無権代理人が本人を単独で相続した場合においては、追認拒絶は許されず、当然に無権代理行為は有効となる。

2 正しい。本人が無権代理人を単独で相続した場合においては、本人の立場で追認を拒絶してもよい。

3 誤り。無権代理人が本人を他の共同相続人と共に共同相続した場合には、共同相続人が共同して無権代理行為を追認しない限り、無権代理行為は、無権代理人の相続分に相当する部分においても、当然に有効となるものではない(判決文参照)。

4 正しい。本人が追認の拒絶をした後に死亡した場合、本人が追認を拒絶すれば無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定し、追認拒絶の後は本人であっても追認によって無権代理行為を有効とすることができなくなるので、追認拒絶後に無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効となるものではない(判例)。