【問】 請負契約により注文者Aが請負人Bに建物(木造一戸建て)を建設させた場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。ただし、担保責任に関する特約はないものとする。

1 建物の引渡し前に、Aが破産手続開始の決定を受けた場合、Aの破産管財人は請負契約を解除できるが、Bは契約を解除することができない。

2 Bが建物の材料の主要部分を自ら提供した場合は、Aが請負代金の全額を建物の完成前に支払ったときでも、特別の事情のない限り、Bは自己の名義で所有権の保存登記をすることができる。

3 AがBから完成した建物の引渡しを受けた後、Cに対して建物を譲渡したときは、Cは、その建物の瑕疵について、Bに対して修補又は損害賠償の請求をすることができる。

4 AはBが建物の建築を完成していない間にBに代えてDに請け負わせ当該建物を完成させることとする場合、損害を賠償してBとの請負契約を解除することができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 4

1 誤り。注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。これにより生じた損害は、破産管財人が契約解除した場合の請負人に限り、請求することができる(642条)。

2 誤り。請負人が材料の主要部分を提供した場合には、特約のない限り、目的物の所有権は、完成と同時に請負人に帰属する。ただし、その場合でも、請負代金の全額が完成前に支払われているときは、所有権は、完成と同時に注文者に帰属するとされる(判例)。本肢のAは、完成前に請負代金全額の支払を完了しているから、完成と同時建物の所有権を取得し、その保存登記をすることができる。

3 誤り。請負人の担保責任に基づく請求権は、目的物が第三者に譲渡された後でも注文者に存続する。注文者の地位に基づいて生じる権利であり、第三者は承継できない。

4 正しい。請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して、契約を解除することができる(641条)。