【問】 次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 土地がAB共有で、その土地上の建物がAの単独所有の場合、Aの土地の持分に抵当権が設定され、それが実行されたときは、原則として法定地上権は成立する。

2 土地がAの所有で、その土地上の建物がABの共有である場合、土地に抵当権が設定され、それが実行されたときは、原則として法定地上権は成立する。

3 Aが、自己所有の土地についてBと賃貸借契約を締結し、土地を引渡した場合、Aの当該土地に対する占有権は消滅しない。

4 Aが、Bの詐欺による契約により自己所有の土地をBに引渡した場合、Aは、Bに対して、占有回収の訴えを提起することができない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 1

1 誤り。土地が共有の場合、他の土地共有者の利益を保護するために、法定地上権は成立しない(判例)。

2 正しい。建物が共有の場合、他の建物共有者の利益を保護するために、法定地上権は成立する(判例)。

3 正しい。この場合、賃借人が物を所持(直接占有・占有代理人)し、その所持を通じて賃貸人がその物を占有していることになる(間接占有・代理占有・181条)ので、土地に対する占有権は消滅しない。

4 正しい。占有回収の訴えは、占有者の意思に反して所持が奪われたときに提起できる。

したがって、詐欺により自己所有の土地をBに引渡した場合は、詐欺による瑕疵があるとはいえその意思に基づいて占有を喪失した場合であるから、「所持が奪われたとき」に該当せず、Aは、Bに対して、占有回収の訴えを提起することができない(判例)。