【問】 被相続人Aには、配偶者B、Bとの間の子C及び子Dがおり、相続開始の際AとBが同居していた自宅建物をBCDが共同相続した場合において、Bがその自宅について取得する配偶者居住権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 Bが、A所有の建物について配偶者居住権を取得するためには、長期居住権と短期居住権のいずれの場合も、Aの遺贈又は共同相続人間の遺産分割が必要である。

2 BがAの遺言により、自宅建物の長期居住権を取得した場合には、Bは終身の間、無償で建物全部を使用収益する権利を有するが、この場合、共同相続人であるBCD間の遺産分割により、Cが建物の所有権を取得したときは、CはBに長期居住権の設定登記を備えさせる義務を負う。

3 BCDが自宅建物を共同相続した場合、Bの短期居住権は、共同相続人であるBCD間の遺産分割により建物の帰属が確定した日又は相続開始時にから6ヵ月を経過した日のいずれか遅い日まで存続する。

4 BCD間の遺産分割により、自宅建物の所有権をCが、配偶者長期居住権をBがそれぞれ取得した場合、Bは、従前の用法と異なる自宅の使用が禁じられるほか、Cに無断で居住建物の増改築を行うことや第三者に居住建物の使用・収益をさせることが禁止される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 1

1 誤り。長期の配偶者居住権は、①被相続人の遺贈、②共同相続人間の遺産分割、③家庭裁判所の審判のいずれかにより取得するが、短期の配偶者居住権は、それらの手続は必要でなく、(イ)配偶者が相続と同時に長期居住権を取得したとき、(ロ)配偶者が相続欠格又は廃除により、相続権を喪失した場合を除き、相続の開始と同時に自動的に取得する(1028条、1037条)。

2 正しい。記述の通り(1030条,1031条1項)。

3 正しい。配偶者の短期居住権は、①居住中の建物を配偶者とその他の相続人で共同相続した場合には、(イ)共同相続人間の遺産分割により建物の帰属が確定した日並びに(ロ)相続開始から6ヵ月を経過した日のいずれか遅い日、又は②①以外の場合に建物取得者から短期居住権消滅の請求を受けた日から6ヵ月を経過した日まで存続する(1037条1項)。

4 正しい。記述のとおり。尚、配偶者がこれに違反した場合、建物の所有者は、相当な期間を定めてその是正を催告することができ、催告期間内に是正されない場合には、居住権の消滅を請求することができる(1032条1項,3項,4項)