【問】 遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 被相続人Aの配偶者BとAの弟Cのみが相続人であり、Aが他人Dに遺産全部を遺贈したとき、Bの遺留分は遺産の8分の3、Cの遺留分は遺産の8分の1である。
2 遺留分侵害額の請求は、訴えを提起しなくても、内容証明郵便による意思表示だけでもすることができる。
3 相続が開始して9年6カ月経過する日に、はじめて相続の開始と遺留分を害する遺贈のあったことを知った遺留分権利者は、6カ月以内であれば、遺留分侵害額の請求をすることができる。
4 被相続人Eの生前に、Eの子Fが家庭裁判所の許可を得て遺留分の放棄をした場合でも、Fは、Eが死亡したとき、その遺産を相続する権利を失わない。
〔問〕 正 解 1
1 誤り。兄弟姉妹には遺留分が認められていない(1042条)ので、Cの遺留分はない。
2 正しい。遺留分侵害額の請求は訴えを提起しなくても裁判外で行使できる。
3 正しい。遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年経過時、又は相続開始の時から10年経過時のいずれか早い時点で時効消滅する(1048条)。よって、本肢のとおり6カ月以内であれば遺留分侵害額の請求をすることができる。
4 正しい。相続開始前に遺留分の放棄をするには家庭裁判所の許可が必要である(1049条)。また、遺留分の放棄は、相続自体を放棄するものではないので、遺留分放棄後に遺言等がなく通常の相続が開始した場合には、遺産を相続する権利を失わない。