【問】 令和3年3月、AがBから賃借している建物をCに転貸した場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

1 AC間の転貸借がBの承諾を得ていない場合でも、その転貸借がBに対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、Bの解除権は発生しない。

2 AB間の賃貸借が合意解除によって終了すれば、CがBの承諾を得て転貸していても、特段の事由のない限り、AC間の転貸借は終了し、Cの権利は、消滅する。

3 AB間の賃貸借がBの解約申入れによって終了した場合において、Bの承諾を得て転借しているCが建物の使用を継続するときは、Bが遅滞なく異議を述べないと、AB間の賃貸借が更新される。

4 AB間の賃貸借の期間が満了する場合においても、Bは、Bの承諾を得て転借しているCに対しその旨の通知をしなければ、その終了をCに対抗することができない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 2

1 正しい。賃借人が、賃貸人の承諾なく賃借物を他人に転貸した場合、原則として賃貸人は賃貸借契約を解除することができる(民法612条)。ただし、判例は、例え賃借人が賃貸人に無断で賃借物を転貸しても、それが賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情がある(つまり、背信行為と認められない)ときは、解除は認められないとしている(最判昭28.9.25)。

2 誤り。賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間で賃貸借を合意解除したことをもって転借人に対抗することができず、転貸借の終了を主張できないない。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない(民法613条3項)。

3 正しい。賃貸人が正当事由のある解約申入れ(28条)をした場合には、申入れから6か月経過で契約は終了するが、その終了後に賃借人(適法な転借人を含む)が賃借物の使用を継続する場合において、賃貸人が遅滞なく異議を述べないときは、同一の条件で契約を更新したものとみなす(27条2項,26条2項3項)。

4 正しい。「建物」の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときは、賃貸人は、転借人にその旨の通知をしなければ、その終了を転借人に対抗することができない。ただし、賃貸人が通知をしたときは、建物の転貸借は、その通知がされた日から6ヶ月を経過することによって終了する(34条)。