【問】 下図のような近隣商業地域と第一種住居地域にまたがる敷地に建築物を建築する場合の制限に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、街区の角にある敷地として特定行政庁の指定を受けているものとし、他の地域地区等の指定及び特定道路による影響はないものとする。
1 適用される容積率の最高限度は、270%である。
2 適用される建蔽率の最高限度は、72%である。
3 地方公共団体の条例により、建築基準法第56条の2の日影による中高層の建築物の高さの制限が適用される。
4 ぱちんこ屋は、特定行政庁の許可を受けなければ、建築することはできない。
〔問〕 正 解 3
1 誤り。本肢のように建物の敷地が異なる容積率の制限を受ける2つ以上の地域にわたる場合は、まず、都市計画により指定された容積率と前面道路の幅員による容積率を比較(より厳しい方が適用される)して、各地域の部分に適用される容積率を算出(56条2項)した上で、各地域の敷地面積の割合を乗じて得たものが、敷地全体に適用される容積率となる(56条7項)。
(近隣商業地域部分)
①都市計画による指定容積率:10分の40
②前面道路の幅員による容積率:幅員5m×法定乗数10分の6=10分の30
(第一種住居地域部分)
③都市計画による指定容積率:10分の20
④前面道路の幅員による容積率:幅員5m×法定乗数10分の4=10分の20
以上により算出した各地域の容積率に、全体の敷地面積200㎡に対する各地域の面積の割合を乗じて、以下とおり算出する。
2 誤り。特定行政庁の指定した角地は建蔽率が 加算される。建蔽率が2つ以上の異なる地域にわたる場合は、面積比により加乗平均されるから
となる(53条3項)。
3 正しい。日影規制は、商業地域、工業地域、工業専用地域以外の全ての地域で適用される(56条の2,別表第4い)。
4 誤り。用途地域による建築物の用途制限は、敷地の過半の部分が属する地域の制限が適用される(90条)ので、当該敷地には、近隣商業地域の用途制限が適用される。また、近隣商業地域には、ぱちんこ屋は特定行政庁の許可なく建築できるため、当該敷地全体にぱちんこ屋を建築することができることになる。