【問】 宅地建物取引業者Aは、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBと建築工事完了前の分譲住宅の売買契約(代金5,000万円、手付金200万円、中間金200万円)を締結した。この場合に、宅地建物取引業法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。

1 Aは、手付金を受け取る時点では、宅地建物取引業法第41条の規定する手付金等の保全措置(以下この問において「保全措置」という。)を講じる必要はない。

2 売買契約で手付金が解約手付であることを定めておかなかった場合でも、Aが契約の履行に着手していなければ、Bは、手付金を放棄して契約の解除をすることができる。

3 売買契約で「手付放棄による契約の解除は、契約締結後30日以内に限る」旨の特約をしていた場合でも、契約締結から45日経過後にAが契約の履行に着手していなければ、Bは、手付を放棄して契約の解除をすることができる。

4 契約締結時の2月後で分譲住宅の引渡し及び登記前に、Aが中間金を受け取る場合で、中間金を受け取る時点では当該分譲住宅の建築工事が完了していたとき、Aは、手付金及び中間金について保全措置を講じる必要はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 正 解 4

1 正しい。手付金等の額が代金5,000万円の5%(すなわち250万円)以下であり、かつ1,000万円以下の場合には、保全措置を講じる必要はない(宅建業法41条1項、施行令3条の2)。

2 正しい(39条2項)。

3 正しい。このような特約は買主に不利なものであるため無効とされ、買主Bは売主Aが契約の履行に着手していなければ契約の解除ができる(39条2項・3項)。

4 誤り。工事完了前に契約を締結している以上、その後の中間金の受取りの時期が工事完了後になっても「工事完了前の売買」となり、手付金200万円及び中間金200万円の合計額は400万円であり、売買代金の5%に相当する250万円を超えるため、この両者について保全措置を講じる必要がある(41条1項、施行令3条の2)。