1 台地、段丘およびなだらかな丘陵地は、一般的にいえば、水はけもよく、地盤も安定しており、洪水や地震等の自然災害に対して安全度の高い所である。
2 台地、丘陵の縁辺部(崖下等)は集中豪雨等のとき崖崩れを起こす危険が多い。
3 自然堤防(低地の河川沿いに、過去の洪水による堆積土砂で形成された微高地)に囲まれた低地は、地盤が軟弱、低湿で地震や洪水の被害を受けやすく、災害による危険度が高い。
4 旧河道(昔の川の跡)は、洪水に対しても地震に対しても弱く、軟弱地盤となっているところが多い。また、自然堤防(低地の川沿いに、洪水による堆積土砂などで作られた微高地)は、砂礫(さ れき)質で微高地となっているところが多く、比較的宅地に適している。
5 谷の出口などに扇状に広がった扇状地は、砂礫質で微高地の所が多い。古い集落などはこのような所に立地しているものもあるが、大別すると低地部に属しており、一般に、洪水や地震に対して弱く、防災的見地からは宅地としては好ましくない。
6 干拓地は、洪水のときにはその流路になりやすく、冠水しがちであるだけでなく、地盤が軟弱で地震の被害も大きい所であるから、宅地としてはなるべく避けるべきである。
7 急傾斜地で宅地造成する場合、原地盤に繁茂している樹木を残したまま盛土を行うことは、施工にも支障を来し、地盤沈下や崩壊の原因となるので好ましくない。
8 地山を切土して宅地を造成する場合、風化による強度の低下と流水による浸蝕のおそれがあるので、擁壁で覆うか、または速やかに植生等をして、そのがけ面を保護しなければならない。
9 高含水性の粘性土等が堆積している軟弱地盤は、盛土や建物の荷重によって大きな沈下を生じたり、側方に滑動したりすることがあるので、開発事業にあたっては、十分注意しなければならない。
10 産業廃棄物の処分場跡地を宅地に利用する場合は、あらかじめ、長時間をかけて、ガス抜き、浸出水の浄化、地盤沈下等の観測等を行わなければならない。
11 扇状地(谷の出口などに扇状に広がった微高地)は、砂礫質から成っているので、構造物の基礎について十分な支持力が得られ、災害に対して比較的安全な土地である。
12 地すべり地は、一見なだらかで安定しているようにみえていても、盛土をするとバランスを崩し、豪雨などにより再び地すべりを起こすおそれがある。
13 軟弱地盤のところに盛土をすると、隣接する既設構造物にも影響を及ぼすおそれがある。
14 崖錐堆積物(山地から崩れ落ちて堆積した砂礫)におおわれた地域は、土石流の危険が大きく、切土をすると、崩壊や地すべりを起こしやすい。
15 地すべりは、地質構造の違いから起きる。特に粘性土の上にのっている地層は、それをすべり面として、地すべりを起こしやすく、規模が大きなものとなる。また、地すべり地は、上部は急斜面、中部は緩やかな斜面、下部には末端部に相当する急斜面という独特の地形となっている。
16 土石流は、断層面周辺の部分の地層強度が著しく低下しているところで発生しやすい。急勾配の渓流に多量の不安定な砂礫の堆積がある所や、流域内で豪雨に伴う斜面崩壊の危険性の大きい場合にも起こりやすい。
17 主として砂質土(まさ、しらす、山砂、段丘砂礫など)からなるのり面は、地表水による浸食には比較的弱いので、排水が十分でないと、水の圧力により、のり面の崩落の危険性が高くなるため排水施設の設置は重要であり、擁壁の水抜き穴などによる十分な排水処理を行う必要がある。
18 丘陵地を切土と盛土により造成した地盤の場合、切土部と盛土部の境にまたがった地盤は、沈下量の違いにより不同沈下を生じやすく危険である。
19 地すべり地は過去に地すべり活動を起こした経歴があって、地すべり地形と呼ばれる独特の地形を呈し、棚田等の水田として利用されることがある。
20 樹木の生育する斜面地であっても、根より深い位置の斜面崩壊に対しては、樹木による安定効果は期待できない。
21 扇状地は水はけが良好で比較的安全性は高い。しかし、谷出口に広がる扇状地は、土石流災害に対しては安全とはいえない。
22 自然堤防とは、洪水による堆積土砂などでつくられた、低地の川沿いにある堤防状の微高地をいう。自然堤防の背後に広がる低平地は、軟弱な地盤であることが多い。
23 急傾斜地では、等高線の間隔が密であり、傾斜が緩やかな土地では、等高線の間隔が疎である。
24 地すべり地では、等高線は乱れて表れることが多い。
25 崖錐とは、急傾斜の山麓に風化した岩石片がすべり落ちてできた半円錐状の堆積物をいう。
26 断層地形は、地形の急変する地点が連続して存在するという特徴が見られることが多い。
27 のり高の大きい切土を行う際は、のり面の安定性の検討をする必要がある。
28 崩壊跡地は、周辺と異なる植生を示し、微地形的には馬蹄形状の凹地形を示すことが多く、また、地下水位が高いため竹などの好湿性の植物が繁茂することが多い。なお微地形とは、一般に、地形図に表れないような細かい地形のことをいう。
29 盛土部分は、周囲の土地と比べて軟弱なので、十分に締め固める必要がある。
30 がけ面の擁壁は、崩壊や土砂が流出しないよう、設置する必要がある。
31 擁壁の背面に水がたまると、崩壊の原因となるので、水抜き穴を適正に設ける必要がある。
32 造成して平坦にした宅地では、一般に盛土部分に比べ切土部分での地盤沈下量が小さくなる。
33 切土したがけ面に湧水がみられる場合、一般に湧水地点から「上の部分の方が、それより下の部分よりも」がけくずれを起こしやすい。
34 切土斜面について、切土掘削直後の斜面安定が確認できたとしても、その後の降雨などにより不安定となるおそれがある。
35 一般的に、粘土地盤よりも砂礫地盤のほうが、建物の基礎の支持力が発揮されやすいとされている。
36 台地は、一般に水はけがよく地盤も安定している。洪水や地震等の自然災害に対して安全度の高いところであり、宅地として積極的に利用すべき地形である。
37 等高線の間隔が不ぞろいで大きく乱れているという状況は、崩壊が発生した地形である可能性が高い。
38 断層は地殻にストレスが働いて、破壊が起きることによって生じるものである。断層の部分には地殻のずれが生じているので、その周辺の地盤の強度は安定せず、断層に沿った崩壊、地すべりが発生する危険性は高い。
39 擁壁、側溝、道路等にひび割れが起きるのは、地盤がずれているためと思われる。したがって、地すべりが活動している可能性が高いといえる。
40 盛土をして敷地の位置を高くしているのは、洪水対策である可能性が高い。
41 丘陵地や台地内の小さな谷間を埋土して造成された宅地では、地盤沈下や排水不良を生じることが多い。
42 既存の擁壁の上に、ブロックを積み増し、盛土して造成しても、地盤は不安定であり、宅地面積を広げつつ、安全な宅地として利用できるとはいい難い。
43 切土部と盛土部にまたがる区域では、沈下量の違いにより不同沈下を生じやすい。
44 擁壁の水抜き穴、盛土のり面の小段の排水溝等による排水処理の行われていない宅地は、不適当であることが多い。
45 崖錐(急斜面の山腹のふもとに風化した岩石層が崖から落下して生じた円錐状の堆積地形)堆積物は、角張った岩石や土砂より成り立っており、一般的に透水性が高い。
46 扇状地については、大縮尺の地形図や空中写真によって、土石流や洪水流の危険度をある程度判別できることが多い。
47 盛土部は、十分固まらないと豪雨や地震に弱く、建物や構造物等の不同沈下は、一般に切土部よりも盛土部で起こりやすい。
48 液状化現象は、比較的粒径のそろった砂地盤で、地下水位の高い、地表から浅い地域で発生しやすい。
49 低地のなかでも古い集落や街道が分布しているところは、砂礫質で微高地となっているところが多いが、古い集落や街道がないような地形は、地盤が軟弱であることが多い。
50 近年、洪水氾濫危険区域図、土砂災害危険区域図等災害時に危険性があると予想される区域を表示した図書が一般に公表されており、これらは安全な宅地を選定するための資料として有益である。
51 自然斜面は、地層分布、土質等が複雑かつ不均一で地盤の強さが場所により異なることが多いので、特にのり高の大きい切土を行う際は、のり面の安定性の検討をする必要がある。
52 都市内の中小河川の氾濫被害が多発している原因としては、急速な都市化・宅地化に伴う流出形態の変化によって、降雨時に雨水が短時間で河川に流れ込むことがあげられる。
53 崩壊跡地は、微地形的には馬蹄形状の凹地形を示すことが多く、また地下水位が高いため竹などの好湿性の植物が繁茂することが多い。
土地【具体的事例】
「土地」