(1) 地区計画等とは、比較的小規模の地区レベルで、「その地区の特性」に応じた小さな単位できめ細かい街づくりを行うため立てるプランで都市計画の1つです。たとえば、閑静な住宅地なら、ラブホテルを規制するとか、買物客で賑わう商店街なら、道路等を整備するなどです。
① 地区計画
② 沿道地区計画
③ 集落地区計画
④ 防災街区整備地区計画
⑤ 歴史的風致維持向上地区計画
※ 都市計画に定める地区計画等の案は、その案に係る区域内の土地の所有者や居住者等利害関係を有する者の意見を求めて作成することとされている。
とことん覚える!【重要度A】
(3) 地区計画の対象区域
① 用途地域が定められている土地の区域
② 用途地域が定められていない土地の区域のうち次のいずれかに該当する区域
イ.住宅市街地の開発その他建築物若しくはその敷地の整備に関する事業が行われる、又は行われた土地の区域
ロ.建築物の建築又はその敷地の造成が無秩序に行われ、又は行われると見込まれる一定の土地の区域で、公共施設の整備の状況、土地の利用の動向等からみて不良な街区の環境が形成されるおそれがあるもの
ハ.健全な住宅市街地における良好な居住環境その他優れた街区の環境が形成されている土地の区域
※ 準都市計画区域に地区計画が定められることはない。
(4) 地区計画については、次のことを都市計画に定める、または定めるよう努めるものとする。
a.地区計画の種類、名称、位置、区域(定める)、面積(定めるよう努める)
b.当該地区計画の目標その区域の整備、開発、保全に関する方針(定めるよう努める)
c.地区施設および地区整備計画(定める)
地区整備計画には、次のような事項を定めることができる。
イ.地区施設の配置および規模
ロ.建築物等の用途の制限
ハ.建ぺい率の最高限度・容積率の最高または最低限度・高さの最高または最低限度、建築面積の最低限度等、建築物の形態または色彩その他の意匠の制限(市街化調整区域内では、容積率・高さ・建築面積の最低限度を定めることはできない)
ニ.敷地の規模の最低限度の制限等
ホ.建物の緑化率の最低限度等
(5) 再開発等促進区
地区計画には、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の増進とを図るため、一体的かつ総合的な市街地の再開発または開発整備を実施すべき区域として、再開発等促進区を定めることができる。対象区域は用途地域が定められている区域(都市計画法12条の5、第3項)。
(6) 開発整備促進区
一定の条件に該当する土地の区域における地区計画については、劇場、店舗、飲食店その他これらに類する用途に供する大規模な建築物の整備による商業その他の業務の利便の増進を図るため、一体的かつ総合的な市街地の開発整備を実施すべき区域「開発整備促進区」を都市計画に定めることができる(同法12条の5第4項)。
※ 開発整備促進区は、第2種住居地域、準住居地域もしくは工業地域が定められている土地の区域または用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く)で定める。当該区域内で開発整備促進区が定められた場合には、一定の要件の下に、床面積の合計が10,000m2を超える店舗・飲食店等の建築物の建築ができる(建基法68条の3第7項)。
(7) 地区計画等の区域のうち、地区整備計画等が定められている区域内で次の行為をする場合は、行為着手の30日前までに必要事項を市町村長に届け出なければならない。
届け出た内容を変更する場合も同様である。
イ.土地の区画形質の変更
ロ.建築物の建築
ハ.工作物の建設
ニ.建築物等の形態または意匠の変更 等
上記の届出が地区計画に適合しない場合、市町村長は計画変更の勧告をすることができる。
ただし、次の行為をする場合は、届出する必要はない。
① 通常の管理行為、軽易な行為
② 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
③ 国または地方公共団体が行う行為
④ 都市計画事業の施行として行う行為、またはこれに準ずる行為
⑤ 開発許可を要する行為
● 市町村は地区計画の地区整備計画が定められている区域内において、条例で、建築基準法第48条の建築物の用途制限を強化又は緩和することができる。