貸借の媒介の場合
貸主と借主の媒介をした場合です。貸借の場合の報酬は賃料をもとに計算するのが原則です。
依頼者の双方から受ける報酬の上限額は、双方合算して1月分です。
① 居住用建物の場合には、あらかじめ承諾を得ている場合を除いて、依頼者の一方から借賃の半月(2分の1ケ月分)を超える報酬は受領できません。
図のように甲業者がAB間の居住用建物(アパート等)の賃貸借を媒介した場合、甲が受けられる報酬の上限額はAとB双方合算して借賃の1月分(20万円)が限度です。
甲は、Aから半月分(10万円)以内で、Bから半月分(10万円)以内で報酬(合せて1月分以内)で受領することができます
※ただし、依頼者(ABどちらでもよい)からあらかじめ半月分(2分の1ケ月分)を超える報酬を受ける旨の承諾を得ている場合には半月分を超える報酬を受けることができますが、この場合でもAB双方合算して借賃の1月分を超える報酬を受けることはできません。
なお報酬は、消費税を課税して受領することになります。
② 居住用建物以外(店舗、事務所等)の賃貸借の場合は、承諾は必要なく依頼者から借賃の1月分(20万円)以内で報酬を受けることができるが、この場合でも依頼者の双方から受けられる報酬は、双方合算して1月分以内です。
たとえば、借主Bから1月分の報酬を受けるのならば、甲業者は貸主Aからは報酬を受けることはできませんし、その逆の場合でも同じです。もちろんAから半月分以内で、Bから半月分以内で報酬を受けることもできますし、Bから15万円、Aから5万円の報酬を受けることもできます。ようするに双方合算して1月分以内であればOKです。
※ ①②につき、甲業者と乙業者が共同媒介した場合も同じです。両業者の受ける報酬の限度額は、両業者合せて1月分以内です。甲がAから半月分、乙がBから半月分、あるいは、乙がBから1月分の報酬を受けるのならば、甲はAから受けられません。実務上、共同媒介の場合あらかじめ業者間で報酬の配分を定めて行われているようです。
貸借の代理の報酬
貸借の代理をした場合、依頼者から受ける報酬は借賃の1月分以内です。
たとえば、甲業者が貸主Aの依頼を受け代理して貸借の契約を締結した場合、甲はAから借賃の1月分以内で報酬を受けることができます。また、甲がAの代理をし、乙業者が借主Bを媒介した場合でも、両業者が受けられる報酬は、両業者合算して1月分以内です。甲がAから借賃の半月分の報酬を受けるのであれば、乙はBから半月分以内で報酬を受けることになります。この場合も業者間で報酬の配分をあらかじめ定めて行われているようです。