監督処分とは、宅建業法のルール違反者に対して定めているもので、宅建業者に対しての指示処分・業務停止処分・免許取消処分、取引士に対しての指示処分・事務禁止処分・登録消除処分が定められている。

●処分権者と処分を受ける者との関係

宅建業者(違反者) 取引士(違反者)
監督処分 処分権者 監督処分 処分権者
指示処分 ・業務地を管轄する知事
・免許権者等
指示処分 ・行為地を管轄する知事
・登録している知事
業務停止処分 ・業務地を管轄する知事
・免許権者等
事務禁止処分 ・行為地を管轄する知事
・登録している知事
免許取消処分 免許権者 登録消除処分 登録している知事

※ 免許権者等には、地方整備局長等も含まれる。

1.宅建業者に対する指示処分

⑴ 国土交通大臣又は都道府県知事は、宅建業者が次のいずれかに該当する場合、必要な指示をすることができる。(聴聞必要)

(ア) 宅建業法の規定若しくは特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律の一定の規定に違反したとき
(イ) 業務に関し取引関係者に損害を与えたか、または与えるおそれが大きいとき
(ウ) 業務に関し取引の公正を害する行為をしたか、または害するおそれが大きいとき
(エ) 業務に関し他の法令に違反(都市計画法や建築基準法など)し、業者として不適当だと認められるとき
(オ) 取引士が監督処分を受けて、それが業者の責めに帰すべき理由あるとき

⑵ 指示できるのは免許権者と、業者が業務を行っている場所を管轄する都道府県知事(その都道府県内の業務に関してのみ)である。

指示処分

※都道府県知事はその場所であれば誰にでも指示できる(東京都知事なら東京都内)
国土交通大臣は国土交通大臣免許の業者のみ

2.宅建業者に対する業務停止処分

⑴ 1年以内の期間を定めて業務の全部または一部の停止を命ずることができる(65条2項)。
※ 業務停止期間中は、契約・広告等の業務はできません。

⑵ 国土交通大臣又は都道府県知事は、宅建業者が次のいずれかに該当する場合、業務の停止処分をすることができる。(聴聞必要

(ア) 業務に関し他の法令に違反し、業者として不適当だと認められるとき

(イ) 取引士が監督処分を受け、それが業者の責めに帰すべき理由あるとき

(ウ) 指示処分に従わないとき

(エ) 次に掲げる事由のひとつに該当したとき、
① 営業保証金供託の届出前の事業開始(事務所新設の場合に準用)
② 新たに事務所を設置したのに弁済業務保証金分担金を納付しない
③ 専任の取引士の設置要件を欠く(2週間以内に補充等の適合措置をとらない場合に準用)
④ 従業者に証明書を携帯させない
⑤ 従業者名簿を備え付けない
⑥ 誇大広告等の禁止違反
⑦ 取引態様の明示義務違反
⑧ 重要事項の説明をしない、または、書面を交付して説明しない
⑨ 未完成物件の契約締結時期の制限違反
⑩ 37条書面の交付義務違反
⑪ 媒介・代理契約書面の交付・価額の根拠の明示義務違反
⑫ 自己の所有に属しない宅地建物の売買契約の制限違反
⑬ 自ら売主の完成・未完成物件の手付金等保全措置義務違反
⑭ 自ら売主の所有権留保等の禁止違反
⑮ 限度額を超える報酬を受領する
⑯ 不当に高額の報酬を要求する
⑰ 重要な事実の告知義務違反
⑱ 手付貸与等による契約締結誘引の禁止違反
⑲ 不当な履行遅延禁止違反
⑳ 契約の締結に際し、相手方等に対し利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為
㉑ 契約を締結させ、または契約の申込みの撤回もしくは解除を妨げるため、相手方を威迫する行為
㉒ 相手方等の保護等に欠けるものとして国土交通省令で定める行為
㉓ 自己の名義をもって他人に宅建業を営ませたり、表示、広告させたとき
㉔ 営業保証金の不足額を通知後2週間以内に供託しない
㉕ 保証協会社員が還付充当金を通知後2週間以内に納付しない
㉖ 特別弁済業務保証金分担金を通知後1カ月以内に納付しない
㉗ 保証協会社員の地位を失った場合に1週間以内に営業保証金の供託をしない
㉘ 秘密を守る義務違反
㉙ 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律の一定の規定に違反した場合

(オ) 業法の規定に基づく国土交通大臣または都道府県知事の処分に違反したとき

(カ) 宅地建物取引業に関し不正または著しく不当な行為をしたとき

(キ) 成年者と同一の行為能力を有しない未成年者である業者の法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む)、法人である業者の役員もしくは政令で定める使用人、または個人業者の政令で定める使用人が、業務停止処分をしようとするとき以前5年以内に宅地建物取引業に関し、不正または著しく不当な行為をしているとき

● 上記の業務停止処分対象行為で情状が特に重いとき、または業務停止処分に違反したときは、必ず免許が取消しされる(聴聞必要)。

⑶ 業務停止の処分権者と処分を受ける者との関係は、指示処分の場合と同じ

指示処分

※ 上記① ② ③ ㉔ ㉕ ㉖ ㉗(キ)についての処分権者は、免許権者等のみです。