報酬額の掲示の義務
業者はその事務所ごとに、公衆の見やすい場所に国土交通大臣が定めた報酬額を掲示しなければならない(46条4項)。
不当に高額の報酬の要求の禁止
業者は不当に高額の報酬を取引の依頼者等に要求してはならない(47条の2)。
違反の場合罰則として、1年以下の懲役若しくは、100万円以下の罰金またはこれらの併科。
【ポイント】
1.「不当」とは、強迫等をして高額の報酬を要求すること。
この行為自体が禁止され、たとえ実際に受領した報酬額が法定の限度以内であっても違反する。
2.不当に高額の報酬は受領しなくても要求しただけで規制の対象となる。
3.罰則を比較すると「不当な要求」を「受領」より重罰としている点に注意。
高額報酬の受領禁止
業者は国土交通大臣の定める報酬の額を超えて受領してはならない。
違反の場合の罰則として、100万円以下の罰金。
不当な履行遅延の禁止
業者は業務に関し次の行為を不当に遅らせてはならない(44条)。
① 宅地建物の登記
② 宅地建物の引渡し
③ 取引に係る対価の支払い
【ポイント】
1.業者自身の利益・怠慢等の理由で「不当」 に遅らせると規制の対象となる。
2.天災等の不可抗力で遅れても、規制の対象とはならない。
秘密保持の義務
⑴ 営業中、廃業後ともに業者は正当な理由がなければ、その業務上知った他人の秘密を漏らしてはならない(45条)。
⑵ 在職中、退職後ともに業者の使用人その他の従業者であった者は、正当な理由がなければ、業務を援助したことについて知りえた他人の秘密をもらしてはならない(75条の2)。
【ポイント】
1.正当な理由がなければ漏らしてはならない。つまり正当な理由があれば漏らしても規制されないということである。正当な理由がある場合とは………
(例示、イ.裁判上の証人として証言するとき、ロ.収税官吏の検査権に基づく質問に答えるとき、ハ.他人の秘密が取引上重要な事柄であって、その秘密を依頼者等に告げなければ依頼者等に重大な不利益を与えるとき、ニ.本人の承諾を得たとき、等)
2.正当な理由なく、業務上知った他人の秘密を漏らしても、告訴がなければ、公訴を提起することができない(83条2項)。
3.宅建業者の秘密を漏らしても規制の対象とはならない。