消滅時効

とことん覚える!【重要度B】
消滅時効とは、一定の期間権利を行使しない場合に、その不行使という事実状態に対し権利を消滅させる法律効果を発生させることをいいます。たとえばAがBに1年後に弁済する約束で金を貸した場合、Aの貸金返還請求権は、弁済期後10年で時効消滅します(民法166条・167条1項)。
(1) 消滅時効は権利を行使しうる時から進行する(166条)。
(2) 債権の消滅時効
★注1.債権は原則として10年間行使しないことで消滅する(167条1項)。
★注2.短期消滅時効
1.地代・家賃などは5年(169条)。
2.小売商品の代価などは2年(173条)。
★注3.確定債権の時効期間
確定判決によって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであってもその時効期間は、10年とする。ただし、確定の時に弁済期の到来していない債権については適用しない(174条の2、1・2項)

とことん覚える!
消滅時効の起算点(消滅時効はいつからスタートするのか?)
権利が時効で消滅する期間は、権利を行使できるようになった時から計算を始めます(民法166 1項)。
① 弁済期が○年12月31日と定められている場合のように確定期限の定めのある債権ではその期限が到来したときから(12月31日からスタート)
② 工事中の私鉄が完成したら代金を支払うというように、期限が不確定な場合は、不確定期限(始期)が到来したときから(私鉄が完成したときからスタート)
※ 停止条件付の場合は、条件成就の時から――農地法5条の許可が得られたらこの農地を売却するという場合は、農地法5条の許可が得られた時点から
③ 期限の定めのない債権は債権成立の時から(契約と同時にスタート)
④ 債務不履行による損害賠償請求権は、本来の債務の履行を請求し得る時から

時効の起算点と履行遅滞との比較(412条参照)

時効の起算点 履行遅滞
①確定期限 期限の到来のとき 期限の到来のとき
②不確定期限 期限の到来のとき ①債務者が期限の到来を知ったとき
期限の到来後、履行の請求を受けたとき
③期限を定めなかったとき ①原則…債権成立のとき
②例外…
(消費貸借)
・返還請求後相当期間
債権成立後相当期間
履行の請求を受けたとき

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債権以外の消滅時効
① 消滅時効にかかるもの
地上権、永小作権、地役権、抵当権などの財産権は、20年間行使しないと消滅する(167条2項)。
② 消滅時効にかからないもの
所有権、共有持分権(所有権の性質を持つものである)。