【問】 宅地建物取引業Aが自ら売主として、宅地建物取引業者でないBと宅地(価格5,000万円)の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。

l AB間において、「債務不履行による契約解除に伴う損害賠償の予定額を500万円とする」旨の特約をした場合でも、Aの実際に被った損害の額が予定額を超えることを証明できるときは、Aは、1,000万円を限度として、500万円を超える額の損害賠償を請求することができる。

2  売買契約が「宅地の引渡しまでに代金の一部として1,000万円支払う」条件の割賦販売であった場合で、Bが1,000万円を支払い、Aが宅地を引き渡すときは、Aは、所有権の移転登記の売主の義務も履行しなければならない。

3  売買契約の締結に際し、AがBから1,500万円の金銭を手付として受領した場合、その後、Bが手付を放棄して契約を解除したときには、Aは、受領した金銭を一切返還する必要はない。

4  AB間において、「債務不履行による契約解除に伴う損害賠償の予定額と違約金の額をそれぞれ1,000万円とする」旨の特約をした場合でも、損害賠償と違約金の合計した額は,1,000万円となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 正解    4

1 誤り。損害賠償の予定額を定めた場合には、実際に被った損害の額が予定額を超えることを証明できるときでも、予定額を超える損害賠償を請求できない(民法420条1項)。

2  誤り。割賦販売においては、代金の10分の3を超える金銭の支払いを受ける場合は、所有権の留保は禁止されるが、1,000万円の支払いを受ける段階では売主の義務を履行しなくてもよい(43条1項)。

3 誤り。宅建業者が自ら売主となる場合、受領できる手付額は代金の10分の2までである。10分の2を超える部分については、買主が手付を放棄して契約解除した場合でも返還しなければならない(39条1項)。

4  正しい。宅建業者が自ら売主となる売買契約においては、損害賠償を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した金額が代金の10分の2を超えて定めてはならない(38条1項)。超える部分は無効となる。