【問】 相続人が、被相続人の妻Aと子Bのみである場合(被相続人の遺言はないものとする。)の相続の承認又は放棄に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 Aは、Bの詐欺によって相続の放棄をしたとき、Bに対して取消しの意思表示をして、遺産の分割を請求することができる。

2 Aが単純承認をすると、Bは、限定承認をすることができない。

3 A及びBは限定承認をしたが、Bが相続財産を隠匿していたとき、相続債権者は、相続財産をもって弁済を受けられなかった債権額の2分の1について、Bに請求できる。

4 相続の承認又は放棄をすべき3ヵ月の期間の始期は、AとBとで異なることがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 正 解 1

1 誤り。詐欺によって相続の放棄をした者はその放棄を取り消すことができるが、その取消しは家庭裁判所に申述してなければならないのであり、Bに対する取消しの意思表示により行うわけではない(919条2項・3項)。

2 正しい。相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる(923条)。

3 正しい。Bが相続財産を隠匿したときは法定単純承認となり(921条3号)、相続債権者は、相続財産をもって弁済を受けられなかった債権額の2分の1についてBに請求できる。

4 正しい。相続の承認又は放棄は自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内にしなければならない。したがって、その時期がAとBとで異なることがある(民法915条1項)。