【問】 Aは、自己所有の建物をBに売却する契約をBと締結し、所有権移転登記を行ったが、まだ、建物の引渡しはしていない。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1  当該建物が地震によって滅失した場合、Bは、Aに対して代金の支払いを拒むことができない。

2  当該建物の引渡し期日が過ぎたのも関わらず、Aがその引渡しをしないでいたところ、当該建物が地震によって滅失した場合、Bはそのことによって損害を受けたときでも、Aに対してその損害の賠償を請求することができない。

3 当該建物がBの責めに帰すべき火災によって滅失した場合、Bは、Aに対して代金の支払いを拒むことができない。

4  当該建物がAの責めに帰すべき火災によって滅失した場合、Bは、そのことによって損害を受けたときでも、Aに対してその損害の賠償を請求することができない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【問】 正解    3

l  誤り。当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。

2  誤り。債務者がその債務について遅滞の責任を負っている間に、当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなされる(413条の2第1項)。履行不能を理由とする損害賠償請求が認められることから、Bは、Aに対して損害賠償を請求することができる。

3 正しい。債権者(買主B)の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者Bは、履行を拒むことができない。

4  誤り。債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務不履行が、契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、損害賠償はできない(415条1項)。