【問】 Aは、所有する家屋を囲う塀の設置工事を業者Bに請け負わせたが、Bの過失によりこの塀は瑕疵がある状態となった。Aがその後この塀を含む家屋全部をCに賃貸し、Cが占有使用しているときに、この瑕疵により塀が崩れ、通行人のDが負傷した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Dが、不法行為による損害賠償責任を、損害及び加害者を知った時から1年間行使しなかったときは、この請求権は時効により消滅する。
2 Cは、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていても、Dに対する損害賠償責任を免れることはできない。
3 Cが、Dに対して損害の全額を賠償した場合、CはBに対して求償権を行使することができる。
4 Aは、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていれば、Dに対する損害賠償責任を免れることができる。
【問】 正解3
1 誤り。不法行為による損害賠償請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しなかったときは、時効によって消滅する。
2 誤り。占有者である賃借人Cは、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていれば工作物責任を負わない。
3 正しい。工作物責任を履行した占有者又は所有者は、損害の発生につき施工者Bに故意又は過失がある場合は、その者に対して、求償権を行使することができる。よって、CはBに対して、求償することができる。
4 誤り。肢2で見たように、占有者である賃借人Cは、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていれば工作物責任を負わない。この場合は、所有者Aが工作物責任を負わなければならない。Aは、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていても、被害者Dに対する工作物責任を免れることはできない(無過失責任)。