【問】 Aには配偶者Bと嫡出子CとDがいて、Dには配偶者Eと嫡出子Fがいる。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Dが相続により利益を得ようとして、Aを殺害して懲役8年の刑に処せられた場合、Aの相続人はB及びCである。

2 Aが死亡するよりも前にDが死亡していた。また、Aが死亡した当時、Fは胎児であった。この場合、Aの相続人はB及びCである。

3 Fが死亡するよりも前に、B、C及びDが死亡していた。この場合、Fの相続人はA及びEである。

4 同じ旅客船に乗っていたAとDが遭難事故により死亡し、AとDの死亡の前後が不明であった場合、Aの相続人はB、C及びFである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【問】 正解4

1 誤り。親Aを殺したDは相続人になれない(相続欠格)。しかし、Dの子Fは代襲相続により相続することができる。よって、Aの相続人はB、C及びFとなる。

2 誤り。胎児は相続については、すでに生まれたものとみなされるので相続人となる。よって、Aの相続人はB、C及びFとなる。

3 誤り。Fには直系卑属がいないので、その直系尊属が相続人となる。直系尊属が相続人となる場合は、まず、父や母が相続人となり、祖父母は父・母がいない場合に相続人となる。よって、Fの相続人はEである。

4 正しい。数人の者が死亡した場合において、どちらが先に死亡したかが不明な場合は、同時に死亡したものと推定される(同時死亡の推定)。この場合、同時に死亡したものと推定される者同士はお互いに相続人にはなれないが、代襲相続の原因となる。本肢を見れば、Fは、Dを代襲してAの相続人となる。よって、Aの相続人はB、C及びFとなる。