【問】 Aは、BのCに対する金銭債務を担保するため、A所有の土地に抵当権を設定し、物上保証人となった。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。

1 Aは、この金銭債務の消滅時効を援用することができる。

2 Aが、Cに対し、この金銭債務が存在することを時効期間の経過前に承認した場合、当該債務の消滅時効が更新される。

3 Bが、Cに対し、この金銭債務が存在することを時効期間の経過前に承認した場合、Aは、当該債務の消滅時効の更新を否定することができない。

4 CからAに対する不動産競売の申立てがされた場合、競売開始決定の正本がBに送達された時からこの金銭債務の消滅時効の完成が猶予される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 2

1 正しい。物上保証人は時効の利益を援用できる(145条)。

2 誤り。時効は、権利の承認があった時点で更新され、その時から新たにその進行を始める(152条)。本肢における「権利」は、CのBに対する金銭債権であるから、権利の承認はその債務者であるBが行うことを要する。よって、物上保証人は、金銭債務の債務者ではなく、物上保証人が権利の存在を認めても「権利の承認」には当らない。

3 正しい。債務者B自身がCのBに対する金銭債権を承認すれば、消滅時効は更新される(152条)。この中断の効力を物上保証人が否定することができない(判例)

4 正しい。債権者が抵当権に基づく競売の申立てをした場合には、競売手続が終了するまで時効の完成が猶予される(148条1項2号)。本肢のように物上保証人に対する不動産競売の申立がされた場合、その開始決定の正本が債務者に到達したときに、被担保債権の消滅時効の完成猶予の効力が生じる。