【問】 A所有の土地につき、Aを売主、Bを買主とする売買契約が成立した場合に関する次の記述のうち、民法及び不動産登記法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
1 「Aは当該土地の欠陥については一切責任を負わない」旨の特約をした場合、その特約は無効であり、Aが知っていてBに告げなかった欠陥については責任を免れない。
2 当該土地にCのために登記された抵当権が存する場合、Bは抵当権消滅請求の手続きが終わるまではAに代金の支払いを拒むことができるが、Aから抵当権消滅請求すべきことを請求されたときは、遅滞なくその手続きをしなければ、BはAにその代金の支払いを拒むことができなくなる。
3 当該土地が、AとDが共同相続した土地であり、遺産分割協議前に、AがDの同意なくA名義への所有権移転登記をした後、Bに売却し、所有権移転登記をした場合、DはBに対して、自己の持分を登記なくして対抗することはできない。
4 Aが当該土地を引渡し期日になっても引渡しを履行しない場合、Bは直ちにAとの売買契約を解除することができる。
〔問〕 正 解 2
1 誤り。売買契約に基づいて引渡した目的物の品質等が契約内容に適合しない場合、売主は担保責任を負う(562条、565条)が、この責任を負わないとする特約も有効である(572条)。ただし、売主が知りながら告げなかった欠陥等については担保責任をまぬかれない。
2 正しい。売主Aから抵当権消滅請求すべきことを請求されたときは、遅滞なくその手続をしなければ、BはAにその代金の支払いを拒むことができなくなる(577条1項)。
3 誤り。共同相続人の一人が、不動産について単独で相続した旨の登記をし、これを第三者に譲渡して所有権移転登記をした場合、他の相続人は、その共有持分のうち、「自己の法定相続分」までは登記なくして対抗することができる(899条の2 1項)。
4 誤り。履行遅滞の場合は、原則として、Bは、Aに対して相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がなければ契約を解除することができる(541条)。