【問】  自己所有の建物に妻Bと同居していたAが、遺言を残さないまま死亡した。Aには先妻との間に子C及びDがいる。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Aの死後、遺産分割前にBがAの遺産である建物に引き続き居住している場合、C及びDは、Bに対して建物の明渡しを請求することができる。

2 Aの死後、遺産分割前にBがAの遺産である建物に引き続き居住している場合、C及びDは、それぞれBに対して建物の賃料相当額の4分の1ずつの支払いを請求することができる。

3 A死亡の時点でBがAの子Eを懐妊していた場合、Eは相続人とみなされ、法定相続分は、Bが2分の1、C・D・Eは各6分の1ずつとなる。

4 Cの子FがAの遺言書を偽造した場合には、CはAを相続することができない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 3

1 誤り。この場合、被相続人の妻Bは、建物について「配偶者短期居住権」を有し、遺産分割により建物の所有関係が最終的に確定する日又は相続開始から6か月を経過する日のいずれか遅い日まで無償で使用することができる(1037条1項)。

2 誤り。上記肢1の解説のとおり、Bは配偶者短期居住権を有し、建物を無償で使用することができるのであるからC及びDは賃料相当額の請求をすることはできない。

3 正しい。胎児は、すでに生まれたものとみなされるので、Eは相続人となる。よって、Bの相続分が2分の1、C・D・Eの相続分がそれぞれ6分の1となる(900条)。

4 誤り。民法891条5号は、遺言書を偽造した者は、欠格事由に該当し、相続人となることができないと規定しており、本肢で遺言書を偽造したのはFであるから、Cは相続権を失わない。