【問】 Aが、AのBに対する金銭債権をCに譲渡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 Aは、Cへの譲渡について、Bに対しては、Aの口頭による通知で対抗することができるが、第三者Dに対しては、Bの口頭による承諾では対抗することができない。

2 Bは、譲渡の当時Aに対し相殺適状にある反対債権を有する場合において、異議を留めないで譲渡を承諾しても、Cの善意悪意にかかわらず、Cに対し相殺による債務の消滅を主張することができる。

3 Aが、Cに対する債務の担保として債権を譲渡し、Aの債務不履行があったとき、CからBに対して譲渡の通知をすることとしておけば、Cは、Aに代位して自己の名義で有効な譲渡の通知をすることができる。

4 Cへの譲渡についてのAの確定日付証書による通知と、第三者Eの同一債権に対する差押命令とが、同時にBに到達したとき、Bは、Eへの支払、供託等によりこの債権が消滅していない以上、Cからの請求を拒むことはできない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 3

1 正しい。債権譲渡を債務者に対抗するためには、債権者からの口頭の通知で足りるが、債務者以外の第三者に対抗するためには、債権者から債務者に対する確定日付の証書による通知、または確定日付の証書による債務者の承諾が必要である(民法467条2項)。

2 正しい。債務者が、債権譲渡に関して異議を留めないで承諾した場合でも、譲渡当時、譲渡人に主張することができた事由を譲受人に対して主張することができる(改正・468条1項の削除)。

3 誤り。債権譲渡の通知は、譲渡人から債務者に対してする必要があり、譲受人が譲渡人に代位して通知することはできない(大判昭5.10.10、467条1項)。但し、譲受人が譲渡人の代理人として行う場合は有効な通知となる。

4 正しい。Aの確定日付証書による譲渡通知とEの同一債権に対する差押命令とが同時にBに到達した場合、CとEはともにBに債権全額の弁済を請求でき、Bは、Eへの支払い、供託等の債務消滅事由がない限り、Cからの請求を拒むことができない(最判昭55.1.11、467条2項)。