【問】 甲が死亡し、その子A、B及びCの相続に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aが自己に相続が開始したことを知ってから3カ月が経過した場合、B及びCは、自己に相続が開始したことを知らなくても相続を放棄することはできない。

2 Aが相続を放棄し、又は単純承認をしたときは、B及びCは限定承認をすることができない。

3 甲が生存中に公正証書遺言をする場合、Aの配偶者であるDが、遺言の証人になることができる。

4 Bは自己に相続が開始したことを知りながら相続財産に属する建物を放火し焼失させた場合、Bは相続を単純承認したものとみなされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 4

1 誤り。相続の承認及び放棄の期間(熟慮期間)は、相続人ごとに各別に進行するので、数人の相続人があるとき、一人の相続人につき期間が経過していても、他の相続人は当該相続人に相続の開始があった事を知ったときから3カ月以内であれば相続を放棄することができる(915条)。

2 誤り。共同相続の場合、限定承認は共同相続人全員が共同して行う必要がある(923条)ため、共同相続人のうちに単純承認をしている者がいる場合は、他の共同相続人は限定承認をすることはできない。ただし、共同相続人のうち相続の放棄をした者がいる場合は、当該相続人は、最初から相続人とならなかったものとみなされる(939条)ので、相続の放棄をした相続人を除いた共同相続人全員が共同すれば限定承認をすることができる。

3 誤り。次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない(974条)。

① 未成年者

② 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族

③ 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

4 正しい。故意に相続財産たる建物の焼毀は、相続財産の処分にあたるものと解されており、法定単純承認事由となる(921条)。