【問】 Aは、木造の建物の所有を目的として、Bが所有する土地を期間30年の約定で賃借している。この場合、民法及び借地借家法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。

1 期間満了前にAが鉄筋コンクリート造りの建物を無断で増築した場合、Bが遅滞なく異議を述べなければ、借地権の存続期間は、増築のときから30年となる。

2 期間満了前に建物が滅失し、Aが再築をしない場合、期間満了の際にAが契約の更新の請求をしても、Bが更新に合意しなければ、当該契約は更新されない。

3 期間満了後Aが土地の使用を継続している場合、Bが遅滞なく異議を述べなければ、期間の定めのない借地権が設定されたものとみなされる。

4 期間満了前に建物が火災により滅失し、Aが木造の建物を再築した場合、Bが遅滞なく異議を述べなければ、借地権の存続期間は、建物滅失の日から30年となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 2

1 誤り。借地人Aが無断増改築禁止の特約や借地条件(建物の規模・構造など)に違反した場合は、地主Bは契約を解除することができる(民法616条、594条1項・3項)と規定されているが、実際に解除が認められるのは、賃貸人と賃借人との間の信頼関係が破壊されたと評価できる程度の違反がある場合とされる(判例)。ただ、契約解除が認められない場合でも、存続期間には影響はない。

2 正しい。期間満了の際に借地人が契約の更新の請求をしたときは、「建物がある場合に限り」、借地権設定者が遅滞なく正当事由のある異議を述べた場合を除き、契約を更新したものとみなされる(5条1項)。本肢の場合は、存続期間満了時点で建物が存在しないから、更新請求により契約が更新されたとみなされる場合ではない。

3 誤り。期間満了後、借地人が土地の使用を継続している場合、地主が遅滞なく異議を述べなければ、従前の契約と同一条件で契約を更新したとみなされるが(法定更新・5条2項)、更新後の存続期間は20年(二度目の更新からは10年)である(4条)。

4 誤り。期間満了前に建物が滅失し、借地人が残存期間を超えて存続する建物を再築した場合、

⑴ 建物の再築について地主の承諾があったときは、借地権は、地主の承諾の日または建物再築の日のうち、いずれか早い日から20年間存続する(7条1項)。

⑵ また、借地人が再築する旨を地主に通知し、地主が通知受領後2ヵ月以内に異議を述べなかった場合は、上記と同様20年間存続する(同条2項)。

⑶ 上記⑴⑵に該当せず、地主が遅滞なく異議を述べなかっただけの場合には、無断再築に該当し、存続期間が延長されることはなく残存期間満了までとなる。