【問】 市街化区域内(監視区域及び注視区域外)の甲地(A所有1,000㎡)、乙地(B所有1,500㎡)、丙地(C所有2,000㎡)についての国土利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、甲地と乙地は、隣地である。
1 Cが甲地及び乙地にまたがってビルの建設を計画して、甲地については丙地との交換契約をAと締結し、乙地についてはBと地上権設定契約(設定の対価1億円)を締結した場合、それぞれの契約の締結について、届出が必要である。
2 Cが丙地を分割して、1,000㎡をDと、残りの1,000㎡をEと、それぞれ売買契約を締結した場合、届出をする必要がある。
3 Fが甲地及び乙地にまたがってビルの建設を計画して、甲地についてはAと売買契約を締結し、乙地についてはBと賃借権設定契約(設定の対価なし)を締結した場合、それぞれの契約の締結について、届出が必要である。
4 GがCに対して有する金銭債権の担保として、丙地の所有権をGに移転する契約を締結した場合(いわゆる譲渡担保の場合)、届出をする必要はない。
【問】 正 解 1
1 正しい。Cは、甲地(1,000㎡)については交換契約により、乙地(1,500㎡)については地上権設定契約により、それぞれ「土地に関する権利」を取得しており、いずれの契約も「土地売買等の契約」に当るから事後届出の対象となる。
また、Cは、甲地と乙地に関する契約を両地にまたがったビル建設計画のために行っており、双方の契約には「物理的一体性」と「計画的一体性」が認められるため、甲地と乙地は、23条2項1号の「一団の土地」に該当する。よって、たとえ甲地、乙地の各面積が届出対象面積未満であったとしても、その合計面積(2,500㎡)が届出対象面積に達していれば、それぞれの契約ごとに届出が必要である。
2 誤り。事後届出における「一団の土地」に当るか否かの判断は、「権利取得者」が取得した面積の合計で判断することになる(23条2項1号)。つまり、事後届出の場合は、事前届出と異なり、「一団の土地」取引となるのは「買い集め」の場合のみである。
本肢では、Cが分譲を行っているものの、事後届出において「分譲」は「一団の土地」取引に当らないため、権利取得者であるD、Eが取得した土地の面積のみで届出の要否を判断することになり、いずれも2,000㎡未満であるから届出は不要となる。
3 誤り。Fが乙地について締結した賃借権設定契約は、設定の対価(権利金)がないため、そもそも届出の対象となる「土地売買等の契約」に該当しない(14条1項)。
よって、本肢で届出の対象となる「土地売買等の契約」は、甲地に関する売買契約のみであり、甲地の面積は届出対象面積未満(1,000㎡)であるから、届出不要である(23条2項1号)。
4 誤り。「譲渡担保契約」は「土地売買等の契約」に該当するとされており、その対象土地の面積が届出対象面積に達していれば届出が必要である。