【問】 Aは、BがCに対して負う4,000万円の債務の連帯保証人となった。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 AのほかにDが連帯保証人となっている場合に、CがAに請求してきたときは、Aは、2,000万円を超える支払いを拒むことができる。
2 Bが時効の利益を放棄した場合、Aは、Bの時効を援用することができない。
3 AがCに対して債権を有する場合、Aが相殺しない間は、Bは、その債権により相殺を援用することができない。
4 CがBに対する債権をEに譲渡し、Aに当該債権譲渡を通知した場合、Eは、Aに対しては債権譲渡を対抗することができるが、Bに対しては債権譲渡を対抗することができない。
【解答】 正解 3
l 誤り。連帯保証人は保証人間に連帯の特約がなくても分別の利益(数人の保証人がある場合に債権者に対し、各保証人が主たる債務を平等の割合で分割した額について保証債務を負担すること)を有しない(大判大6.4.28、民法456条)。
2 誤り。主たる債務が時効で消滅したときは、主たる債務者がその援用をしたか否かを問わず、自分に対する関係で保証債務の消滅を主張することができる。
3 正しい。連帯保証人について生じた事由は、原則として主たる債務者に影響しない。AがCに反対債権を有していても、Bはこれを援用することができない。ただし、例外として、a連帯保証人の弁済など、b連帯保証人と債権者との更改、c連帯保証人の相殺(1項)d連帯保証人と債権者の混同がある(連帯債務の規定の準用)。
4 誤り。債権者が連帯保証人に債権譲渡を通知しても、主たる債務者に対して通知をしない場合は、債権譲受人は主たる債務者はおろか、連帯保証人に対しても譲渡を対抗することができない(大判昭9.3.29)。保証人に対して通知しても主たる債務者に対する通知にならないからである(467条)。