【問】 弁済についての次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば正しいものはどれか。

1 元本のほか利息も支払わなければならない場合に、弁済額が両債務を消滅するに足りないときは、特別な定めがない限り、順次に費用、利息及び元本に充当しなければならない。

2 債権者の住所において弁済すべき債務の場合において、債権者が住所を移転していた場合の弁済は、債権者の旧住所において行わなければならない。

3 債務者は債務の弁済後でなければ、債権者に対して受取証書の交付を請求することができない。

4 保証人が債務を弁済した場合、債権者は主たる債務者に対して債権証書を返還しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 正 解 1

1 正しい。債務者が債務につき元本のほか、利息、費用を支払うべき場合に、債務の全部を消滅させるに足りない給付をしたときは、費用・利息・元本の順に充当する(民法491条)。

2 誤り。債権者が住所を移転した場合でも、債権者の現時の住所において弁済しなければならない(484条)。もっとも、それにより弁済費用が増加したときは、債権者が負担する(485条)。

3 誤り。受取証書の交付と弁済とは同時履行の関係にある(判例)。したがって、債権者が受取証書の交付をしない限り、債務者は弁済を拒絶することができる(486条)。

4 誤り。債権証書の返還を請求できるのは弁済者である(487条)。そして保証人は債権者に当然代位する(500条)。したがって、債権者は代位者である保証人に債権証書を交付しなければならない(503条1項)。