【問】 Bを賃貸人、Aを賃借人とする建物の賃貸借及び賃料債権の先取特権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 Bが、建物賃貸借契約の不存在を理由として、賃料の受領を拒絶する意思を明確にしている場合、Aは、口頭の提供をしなくても、債務不履行責任を免れる。
2 Aが、建物を適法にCに転貸している場合、Bは、Cが建物内に所有する家具類、宝石類等の動産に対しては、先取特権の効力は及ばない。
3 BがAから敷金を預かっている場合でも、Bは、賃料債権の全額について先取特権を及ぼすことができる。
4 Aがその建物内のA所有の家具類、宝石類等の動産を第三者に売却したときは、Bの先取特権の効力は及ばない。
【解答】 正解 1
l 正しい。債権者が受領を拒絶する意思を明確にしている場合、債務者は、口頭の提供をしなくても、債務不履行責任を免れる(判例)。
2 誤り。賃借権の譲渡又は転貸の場合、譲受人または転借人の動産にも賃貸人の先取特権の効力が及ぶ(民法314条)。
3 誤り。賃貸人が敷金を預かっている場合は、その敷金によって弁済を受けられない部分についてのみ先取特権を有する。
4 誤り。先取特権の目的物が売却されたときは、その代金債権に対して先取特権を有する。