【問】 所有権及びそれ以外の財産権の取得時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはいくつあるか。

ア  土地の賃借権は、物権ではなく、契約に基づく債権であるので、土地の継続的な用益という外形的かつ客観的事実が存在したとしても、時効によって取得することはできない。

イ  自己の所有と信じて占有している土地の一部に、隣接する他人の土地の筆の一部が含まれていても、他の要件を満たせば、当該他人の土地の一部の所有権を時効によって取得することができる。

ウ  時効期間は、時効の基礎たる事実が開始された時を起算点としなければならず、時効援用者において起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない。

エ  通行地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。

 

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 なし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【問】  正解  1

ア  誤り。土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、それが賃借の意思に基づくものであることが客観的に表現されているときは、賃借権の取得時効を認めている(判例)。

イ  正しい。他人の土地の一部の所有権を時効取得することができる(判例)。

ウ  正しい。時効の効力は起算点にさかのぼる(民法144条)。

エ  正しい。通行地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り時効取得できる(同法283条)。

よって、誤っているものはア一つで1が正解である。