【問】 両当事者が損害の賠償につき特段の合意をしていない場合において、債務の不履行によって生ずる損害賠償請求権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 債権者は、債務の不履行によって通常生ずべき損害のうち、契約締結当時、両当事者がその損害発生を予見していたものに限り、賠償請求できる。
2 債権者は、特別の事情によって生じた損害のうち、契約締結当時、両当事者がその事情を予見していたものに限り、賠償請求できる。
3 債務者の責めに帰すべき債務の履行不能によって生ずる損害賠償請求権の消滅時効は、 本来の債務の履行を請求し得る時からその進行を開始する。
4 債務の不履行に関して債権者に過失があったときでも、債務者から過失相殺する旨の 主張がなければ、裁判所は、損害賠償の責任及びその額を定めるに当たり、債権者の過失を考慮することはできない。
〔問〕 正 解 3
1 誤り。債権者は債務不履行による通常生ずべき損害については、契約締結当時両当事者がその損害発生を予見していたか否かにかかわらず請求できる(416条)。
2 誤り。債権者は特別の事情に基づく損害については、特別の事情を当事者が予見すべきであった場合に請求できる(同条2項)。2020年改正
3 正しい。履行不能によって生ずる損害賠償請求権の消滅時効は本来の債務の履行を
請求できるときから進行を開始する(判例)。
4 誤り。裁判所は当事者の主張がなくても債権者の過失を考慮して過失相殺すること
ができる(418条 判例)。