【問】 AとBが1,000万円の連帯債務をCに対して負っている(負担部分は2分の1ずつ)場合と、Dが主債務者として、Eに1,000万円の債務を負い、FはDから委託を受けてその債務の連帯保証人となっている場合の次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 1,000万円の返済期限が到来した場合、CはA又はBにそれぞれ500万円までしか請求できないが、EはDにもFにも1,000万円を請求することができる。
2 CがBに対して債務の全額を免除しても、AはCに対する債務を免れることはできないが、EがFに対して連帯保証債務の全額を免除すれば、Dも債務の全額を免れる。
3 Aが1,000万円を弁済した場合には、Aは500万円についてのみBに対して求償することができ、Fが1,000万円を弁済した場合にも、Fは500万円についてのみDに対して求償することができる。
4 AがCの債権を承認して時効が更新されてもBの連帯債務の時効の進行には影響しないが、DがEの債権を承認して時効が更新された場合にはFの連帯保証債務の時効も更新される。
〔問〕 正 解 4
1 誤り。連帯債務の債権者は、各連帯債務者に対して、それぞれ1,000万円全額請求することができる(436条)。
2 誤り。連帯債務において、連帯債務者の一人に対する免除は相対的効力しかなく(441条)、他の連帯債務者の債務に同じ効果は発生しない。よって、Bの債務の免除によりBの債務が消滅しても、Aの債務は消滅しない。また、連帯保証債務の免除は、主たる債務に対する絶対的効力はなく、相対的効力しかないため(458条)、Fの連帯保証債務が免除により消滅しても、Dの主たる債務は消滅しない。
3 誤り。連帯債務者の一人が債務の全額を弁済した場合には、その負担部分に応じて他の連帯債務者に求償できるから、AはBの負担部分につきBに求償できる。また連帯保証人が債務の全額を弁済した場合は、連帯保証人には負担部分はなく、主たる債務者がその全額を負担するのであるから、FはDに対して全額を求償できる。
4 正しい。連帯債務においては、債権の承認は相対的効力しかなく(441条)、Aが債権を承認しても、Aの債務の時効は更新されるが他の連帯債務者の債務の時効は更新されない。他方連帯保証の場合、主たる債務に生じた事由は、保証債務の付従性により、原則として絶対的効力を有するから、DがEの債権を承認すれば、Dの債務のみでなく、Fの連帯保証債務の時効も更新される。