【問】 遺言及び遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定によれば正しいものはどれか。
1 自筆証書による遺言をする場合、証人二人以上の立会いが必要である。
2 自筆証書による遺言書を保管している者が、相続の開始後、これを家庭裁判所に提出してその検認を経ることを怠り、そのままその遺言が執行された場合、その遺言書の効力は失われる。
3 適法な遺言をした者が、その後更に適法な遺言をした場合、前の遺言のうち後の遺言と抵触する部分は、後の遺言により撤回したものとみなされる。
4 法定相続人が配偶者Aと子Bだけである場合、Aに全財産を相続させるとの適法な遺言がなされた場合、Bは遺留分権利者とならない。
〔問〕 正 解 3
1 誤り。自筆証書による遺言は、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自分で書き、これに印を押すことにより作成することができ(968条1項)、証人は不要である。証人二人以上の立会いが必要となるのは、公正証書遺言の場合である(969条1項)。
2 誤り。自筆証書遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない(1004条)が、この検認を経ることを怠った場合でも、過料が課されることはある(1005条)が遺言の効力に影響はない。
3 正しい。遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる(1022条)。また、前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分について、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされる(1023条)。
4 誤り。兄弟姉妹以外の相続人は遺留分を有する(1042条)。よって、配偶者に全財産を相続させる遺言があっても、子は遺留分を有し、遺留分侵害額の請求権を有する。