【問】  被相続人A、相続人B及びC(いずれもAの子)として、Aが遺言をし、又はしようとする場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 Aは、遺言をもって、第三者Dに遺言執行者の指定を委託することができる。

2 Aは、「Aの財産をすべてBに遺贈する。CはBに対して遺留分侵害額の請求をしてはならない」旨の遺言をして、CをAの相続から排除することができる。

3 Aが、「Aの甲土地をBに相続させる」旨の遺言をした場合で、その後甲土地を第三者Eに売却し、登記を移転したとき、その遺言は取り消されたものとみなされる。

4 Aは、「Aの乙建物をCに相続させる」旨の遺言をした場合で、Bの遺留分を害しないとき、これをC単独の所有に帰属させることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 2

1 正しい。遺言をしようとする者は、遺言で一人または数人の遺言執行者を指名し、あるいは第三者にその指名を依頼することができる(1006条)。

2 誤り。遺留分侵害額の請求権は、遺言によっても排除することができない。

3 正しい。遺言は、いつでも、遺言の方式に従って撤回することができる(1022条)。

また、前の遺言が後の遺言と抵触する場合、又は遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合、その抵触する部分については、後の遺言又は法律行為で前の遺言を撤回したものとみなす(1023条)。本肢は生前処分による撤回に当たる。

4 正しい。本肢の遺言は、遺言により遺産分割方法を指定したものであり(908条)、Bの遺留分を害しない限り、Cは、遺言に従って建物を単独で相続することになる。