【問】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で宅地の売買契約を締結した場合における次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
1 当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を定めていない場合、損害賠償の請求額は売買代金の額を超えてはならない。
2 当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を売買代金の2割とし、違約金の額を売買代金の1割とする定めは、これらを合算した額が売買代金の3割を超えていないことから有効である。
3 Aが、当該売買契約の解除を行う場合は、Bに対して「手付の倍額を償還して、契約を解除する。」という意思表示を書面で行うことのみをもって、契約を解除することができる。
4 Aは、当該売買契約の締結日にBから手付金を受領し、翌日、Bから内金を受領した。その2日後、AがBに対して、手付の倍額を償還することにより契約解除の申出を行った場合、Bは、契約の履行に着手しているとしてこれを拒むことができる 。
【問】 正解 4
1 誤り。損害賠償額の予定等を定めなかったときは、民法の原則により後から実際に生じた損害額を立証して相当額を請求できる。請求額が売買代金を超えてもよい。
2 誤り。損害賠償額の予定額及び違約金を定めるときは、これらを合算した金額が代金額の10分の2を超えて定めてはならない。10分の2を超えて定めた場合は、10分の2を超える部分は無効となる。
3 誤り。手付契約は手付を交付することによって成立する要物契約である。書面による意思表示のみでは成立しない。
4 正しい。手付による契約解除の時期は、「相手方が履行に着手するまで」である。Bから内金を受領したAは、手付の倍額を返還しても契約解除することはできない。したがって、Bは契約の履行に着手しているとしてこれを拒むことができる。