【問】 宅地建物取引業者A社が、自ら売主として行う甲建物(代金3,000万円)の売買に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはどれか。

1 A社は、宅地建物取引業者である買主B社との間で、甲建物につき、工事完了前であったが、建築確認を受けることを停止条件とする特約を付けて、甲建物の売買契約を締結した。

2 A社は、宅地建物取引業者でない買主Cとの間で割賦販売の契約を締結し、甲建物の引渡しを終えたが、Cの代金支払済額が800万円であったので、甲建物の所有権の移転登記はしなかった。

3 A社は、宅地建物取引業者である買主D社との間で、売買契約を締結したが、契約不適合担保責任について、「A社が契約不適合担保責任を負う期間は、甲建物の引渡しの日から3ヶ月とする」旨の特約を定めた。

4 A社は、宅地建物取引業者でない買主Eとの間で、割賦販売の契約をしたが、Eが割賦金の支払いを遅延した。A社は、30日の期間を定めて書面にて支払いを催告したが、Eがその期間内に割賦金を支払わなかったため、契約を解除した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【問】 正解1

1 違反する。業者間取引においても、建築確認を受けた後でなければ、未完成の建物の売買契約を締結することはできない(契約締結時期の制限)。業者間取引において適用がないのは「8種制限の規定」だけである。よって、本肢は、業法に違反する。

2 違反しない。自ら売主業者が割賦販売契約を締結する場合において、売買代金の受領額が10分の3以下であるときは、所有権を留保することができる。本肢では、受領額は800万円であり、売買代金額(3,000万円)の10分の3以下であるので、A社は、所有権を留保することができる。つまり、買主に所有権の移転登記をする必要はなく、業法に違反しない。

3 違反しない。業者間取引においては、8種制限の規定は適用されない。よって、本肢の特約も有効であり、業法に違反しない。

4 違反しない。自ら売主業者が割賦販売契約を締結する場合においては、当該契約を解除するときは、30日以上の相当の期間を定めて、書面で支払いの催告をなし、その期間内に支払いがないことが要件となっている。よって、本肢は、業法に違反しない。