【問】 AがBに対して有する100万円の貸金債権の消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Aが弁済期を定めないで貸し付けた場合、Aの貸金債権は、BがAから履行の請求を受けたときより、消滅時効が進行する。

2 AB間に裁判上の和解が成立し、Bが1年後に100万円を支払うことになった場合、Aの債権の消滅時効期間は、和解成立の時から進行する。

3 Cが自己所有の不動産にAの債権の担保として抵当権を設定(物上保証)している場合、Cは、Aの債権の消滅時効を援用してAに抵当権の抹消を求めることができる。

4 AがBの不動産に抵当権を有している場合に、Dがこの不動産に対して強制執行の手続きを行ったときは、Aがその手続きに債権の届出をしただけで、Aの債権の時効の完成が猶予される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 3

1 誤り。債権の消滅時効は、権利行使できることを知った時から5年または権利行使できるときから10年のいずれか早い時点を経過したときに完成する。また期限の定めのない債権は、債権の成立(債権発生)の時から権利行使が可能とされており、消滅時効は債権の成立を知った時または債権成立の時から進行する(民法166条1項)。履行の請求を受けた時からではない。

2 誤り。Bが1年後に100万円を支払うということは、弁済期を定めたものであり、消滅時効は一年後(弁済期到来)から進行する(166条1項)。和解成立のときからではない。

3 正しい。債権の消滅時効が完成した場合、その債権を被担保債権とする抵当権の物上保証人は、当事者として債権の消滅時効を援用し、被担保債権の消滅と抵当権の消滅を主張することができる(145条)。

4 誤り。Dが強制執行の手続を行った場合において、Aがその手続の債権の届出をしただけでは時効の完成猶予・更新事由に当たらない。したがって、Aの債権の時効の完成が猶予されることはない(147条~152条)。

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 3

1 誤り。債権の消滅時効は、権利行使できることを知った時から5年または権利行使できるときから10年のいずれか早い時点を経過したときに完成する。また期限の定めのない債権は、債権の成立(債権発生)の時から権利行使が可能とされており、消滅時効は債権の成立を知った時または債権成立の時から進行する(民法166条1項)。履行の請求を受けた時からではない。

2 誤り。Bが1年後に100万円を支払うということは、弁済期を定めたものであり、消滅時効は一年後(弁済期到来)から進行する(166条1項)。和解成立のときからではない。

3 正しい。債権の消滅時効が完成した場合、その債権を被担保債権とする抵当権の物上保証人は、当事者として債権の消滅時効を援用し、被担保債権の消滅と抵当権の消滅を主張することができる(145条)。

4 誤り。Dが強制執行の手続を行った場合において、Aがその手続の債権の届出をしただけでは時効の完成猶予・更新事由に当たらない。したがって、Aの債権の時効の完成が猶予されることはない(147条~152条)。